小坂鉄道は、明治41年(1908年)に小坂鉱山の物資輸送を目的に小坂鉱山と大館駅の間(22.3km:廃止時)に布設され、多くの製品や鉱石、旅客などを運び我が国の近代化に大きく貢献しました。
鉱山閉山後、大館・小坂地域はリサイクル産業の拠点となりましたが、新炉開発により濃硫酸が産出されなくなり、輸送はトラックに代わり、小坂鉄道はその役目を終え、平成21年(2009年)に百年の歴史に幕を閉じました。
廃線後は試験専用線などの活用も検討されましたが実現しませんでした。現在はレールバイクに活用されているほか、腕木式信号機や第2種踏切(踏切保安係が遮断機を操作する踏切)の遺構、当時の車両など、昭和の鉄道運行システムが多く遺されており、近代化産業遺産などとして保存活用できないかとの声もあります。
秋田県は平成25年(2013年)11月に「旧小坂鉄道」を「地域資源」に認定したほか、平成26年(2014年)には、小坂鉄道の線路、敷地、車両、設備などの一部が沿線の大館市と小坂町に無償譲渡されました。
小坂町では小坂駅周辺を「レールパーク」として整備し、平成26年6月から機関庫内の見学やディーゼル機関車の運転体験、レールバイク体験などが出来るようになりました。平成27年(2015年)にはJRでブルートレインとして使用されていた客車を入線させ、列車ホテル「ブルートレインあけぼの」として開業(主に土曜日のみ宿泊可能で予約制)。多くの鉄道ファンで賑わっています。
また大館市では旧大館駅構内を観光交流拠点施設として整備、「秋田犬の里」として令和元年にオープンさせました。東端の旧御成町踏切付近は「鉄道パーク」として小坂鉄道の歴史案内パネルが設置されたほか、手漕ぎトロッコの運行が行われています。(トロッコについては秋田犬の里へお問合せください)
線路を残して活用出来るかどうかはレールバイクの賑わいだけでは厳しいものがあります。
廃線後の線路は管理が行き届かず、自然災害などで年々ダメージを受けていきます。多くの皆様のご支援、そして何よりも「残したい」という声が必要です。ご協力の程、宜しくお願い致します。